トレーラーハウス用階段・デッキのススメ

トレーラーハウスはタイヤが付いているため、出入口は通常の建物よりも高い位置にあります。 そのため、トレーラーハウスを利用するには出入口用の階段を設置することが一般的です。(出入口の高さを低くした低床型トレーラーハウスや一部の海外製トレーラーハウスなどでは本体に格納式の階段を装備したものもあります。)
また、より快適に使用するためにデッキを併設されることも多くなっています。
今回は、トレーラーハウスとは切っても切れない階段とデッキについてお話いたします。

1.素材や形状はどのようなものがあるの?

トレーラーハウスで使用される階段・デッキの素材(材料)は、鉄・アルミなどの金属製のものと木製、あるいはそれらを組み合わせたものが一般的です。 それぞれの材料には長所短所があります。 鉄等の金属製階段・デッキは、何よりも構造が頑丈であり長期間の使用でもガタつきや破損が少ないことがメリットです。 一方、特に鉄製のものは重量が重く移動が大変なこと、デザイン等の外観が無機質に成りがちなこと、雨などで濡れた場合は滑りやすい、錆が発生することなどがデメリットと考えられます。

<鉄製階段の例>

木製階段・デッキは、自然素材特有の柔らかな雰囲気や天然由来の経年変化が楽しめることもあり店舗や個人で使用されるトレーラーハウスでよく使われます。 木製は、大きく分けて天然木と人工木があります。 天然木製の階段・デッキは、ハードウッドと呼ばれるウリン材をはじめとした南洋系木材と針葉樹を原材料とした木材(杉材やパイン材など)があります。ハードウッドなどの南洋系木材は針葉樹系木材に比べ耐久性が高く、硬い木材で長期間の使用でも歪みや劣化等が少ないことがメリットとされていますが、針葉樹系木材に比べ重量が重く、価格が高いことがデメリットとして挙げられます。


針葉樹系木材は2×4材などホームセンター等でもよく目にする一般的な木材で、木質もハードウッドに比べ柔らかいため加工性が良く、重量も軽く、価格もリーズナブルな点がメリットですが、ハードウッドに比べ長期間に使用では歪みやガタつきや防水塗装等のメンテナンスを怠ると雨などの水分による腐食が発生し、使い続けると危険なこともあります。 長期間、針葉樹系木材を使用する場合は定期的(半年に1回程度)に防水塗装を行うなどのメンテナンスが必要になります。

主な南洋系木材

主な針葉樹系木材

ウリン材

セランガンバツ材

イペ材

アマゾンジャラ材 など

パイン(マツ)材

スギ材

ヒノキ材

スプルース材   など

<木製(針葉樹材)の階段・踊り場の例>

近年多くなってきているのが人工木です。  これは木材を細かく砕いたものを樹脂で固めて木材の形状に整形したもので、水に強く耐久性に優れ、メンテナンスも特には不要な素材となります。 一方、樹脂を使用しているため熱による歪みや紫外線による劣化や工業製品であるが故にサイズが規格化されており、設計の自由度が制約されることもあります。 また、金属と木材を組み合わせた階段・デッキもあります。 骨格となる構造材に金属を使用し、踏板や手摺部分に木材を使用し、それぞれの素材の「良いとこ取り」をしています。

<アルミ製フレームと人工木を組み合わせた階段・デッキの例>

階段の形状については、3段階段、4段階段、5段階段などがあります。 段数が多くなればなるほど1段あたりの蹴上幅が小さくなり、昇り降りが楽になります。 ただし段数が多くなれば、それに伴い価格も高くなり、階段の長さ(出幅)も大きくなります。

<3段階段、5段階段の比較>

また、安全のために階段やデッキには手摺を設けられることをお勧めします。 特にデッキは、転落防止のためにも必ず設けるようにされることをお勧めします。

2.階段・デッキ設置時の注意点は?

トレーラーハウスが建築物に該当しない条件のひとつに、「随時かつ任意に移動することに支障のある階段、ポーチ、ベランダ、柵等があるもの」(日本建築行政会議「建築確認のための基準総則」のP.16「車両を利用した工作物」)は建築物として扱われるため、階段やデッキがすぐに簡易に動かせる構造や大きさであることが必要です。


そのため、階段やデッキをトレーラーハウス側とボルト等で固定したり、トレーラーハウスの周囲をデッキで囲ってしまうと、トレーラーハウスが「随時かつ任意に移動できない」と見なされ、建築物と判断されてしまうこともあります。 また、雨除けや日除けのためにデッキや階段に屋根を付けてしまうとデッキや階段自体が「建築物」となってしまいます。 そのため、雨除けや日除けを付ける場合は「可動式」のテント状のものや、巻き取り式のオーニングなどを使用されることをお勧めします。

最近はトレーラーハウスのバリアフリー化のためにスロープを設置されるケースもあります。 その場合も、上記のデッキや階段と同様にすぐに簡単に動かせるよう、スロープの規模により2~5分割できる構造にし、分割した各スロープの接合には蝶ネジなどを使用し、工具を使わずに手で着脱できる仕組みにすることが必要です。 また、不特定多数の方が利用されるトレーラーハウスにスロープを設ける場合は、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(いわゆる「バリアフリー法」)に定められた勾配、通路幅、踊り場・手摺の設置などを遵守するようにしてください。

<木製(南洋材)スロープの例>

3.まとめ

トレーラーハウスを快適に使用するためには階段やデッキを上手く組み合わせて設置することが重要な要素になります。 出入口に階段だけを設置するより、踊り場も併設した方が、より快適に安全に出入りすることができます。 また、デッキを設けることで、ちょっとしたカフェスペースや仲間とバーベキューを楽しむスペースにもなります。

今回このコラムで取り上げた素材の特性や設置にあたっての注意点をご理解いただき、あとはご予算との兼ね合いで、快適なトレーラーハウスライフをお楽しみください

原案:中村
執筆:吉田
校正:藤澤

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トレーラーハウスへの出入り口へつながるアプローチとして、ウッドデッキをご用意しています。 大きいサイズから小さいサイズまでお客様のご要望に応じて製作いたします。

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