トレーラーハウスに住むには?かかる費用やライフライン接続、注意点について解説

トレーラーハウスと住居 アイキャッチ

トレーラーハウスと聞いた時に、「住まい」「住居」というイメージをお持ちの方も多いと思います。「ハウス」という名称が付くくらいですから、住む事についても想像が広がります。一方で、日本においてトレーラーハウスを生活拠点として住む事は、それ程簡単ではありません。本記事では、住居用トレーラーハウスでの暮らしを検討するうえで知っておきたいポイントや注意点について解説します。

※当社は事業用トレーラーハウスのみ取扱っており、住居用トレーラーハウスは扱っていません。今回は参考情報として皆様へご紹介します。

そもそもトレーラーハウスとは

トレーラーハウスとは「車両を利用した工作物」として定義される「移動可能な家」という意味合いを持つ車両(「被けん引自動車」)です。自動車のシャーシの上に、家のような居住空間を乗せた構造になっています。エンジンが無いため自走することはできず、けん引することで動かすことが可能です。

トレーラーハウスには設置基準と呼ばれるガイドラインが存在しており、その基準に沿って利用する事が重要です。この基準を守っていない場合、トレーラーハウスではなく建築物扱いとなってしまいます。
(参考:日本トレーラーハウス協会「トレーラーハウス設置検査基準マニュアル2021」

トレーラーハウスの定義や種類、活用方法などは、以下の記事でより詳しくまとめています。
関連記事:トレーラーハウスとは

トレーラーハウスに住むために必要な費用

トレーラーハウスに住むためには、一般的に以下のような費用がかかります。

本体価格

300万円〜800万円 (種類、サイズによって異なります)

運搬費用

約20万円〜 (目的地までの距離によって異なります)

設置費用

12万円〜 (路面状況、土地勾配によって異なります)

車検費用

5万円 (予備車検、本車検の取得費用)

税金

約10万円 (環境性能割、種別割、重量税、ナンバープレート代、自賠責保険)
 ※車検付トレーラーハウスの場合

トレーラーハウスは住宅ではありませんので、自動車関連の税金が発生します。大型トレーラーハウスの場合には、自動車関連の税金は発生しませんが、移動時に書類交付の手数料が発生するのと、移動は夜間運搬となりますので、運搬費用も高額になる傾向があります。
本体価格を抑えるために、中古で購入を検討するのも良いかもしれません。

※当社は、大型トレーラーハウスは取り扱っておりません。

ライフラインの接続は可能か

適切に引き込み工事などを行い、電気・ガス・水道などのライフラインを接続することも可能です。ただし接続方法を間違えると、トレーラーハウスの法的な定義から逸脱してしまい、建築物とみなされる可能性があるため注意が必要です。

建築物とみなされないようにするためには、トレーラーハウスの定義の1つである「土地側のライフラインの接続方法が工具を使用しないで着脱できること」を守る必要があります。具体的にはそれぞれ以下のような接続方法を使用します。

電気

土地側との接続に着脱可能な電源コネクタを使用する。

水道

土地側との接続にカムロックと呼ばれる接続金具を使用する。

ガス

プロパンガスを使用する。都市ガスは容易に着脱が出来ないため利用出来ません。

ライフラインの接続については以下の記事でより詳しくまとめています。
関連記事:トレーラーハウスで電気は使える?トイレはどうする?

トレーラーハウスには何年住めるのか

一般的な木造住宅は法定耐用年数が22年です。一方トレーラーハウスは、車両としては4年、住宅としては6年と言われています。

長期間である6年と考えた場合でも、住宅よりは遥かに短期間でありその分メンテナンスコストが必要だと想定されます。(コストは設置する地域や気候により異なります。)

トレーラーハウスに住む場合にかかる固定資産税

「トレーラーハウスに住むと固定資産税がかからないので家を建てるよりもお得」というメリットが一般によく言われていますが、本当に得をするかどうかはケースバイケースなので、注意する必要があります。

固定資産税は「土地」と「建物」それぞれ別々に課税されます。トレーラーハウスは「車両扱い = 建物ではない」ため、トレーラーハウス自体に建物の固定資産税はかかりませんが、トレーラーハウスを設置した「土地」には固定資産税がかかります。

土地の固定資産税においてポイントになるのが、「住宅用地の固定資産税には軽減措置が適用される」という点です。住宅用地であれば、200平米までの土地に対しての固定資産税が6分の1に減額されます。(200平米を超える部分は3分の1に減額)

一方トレーラーハウスは建物ではないため、トレーラーハウスのみが設置された土地にはこの軽減措置が適用されず、固定資産税を100%満額で払う必要があります。

家に住む場合とトレーラーハウスに住む場合の固定資産税について、まとめると以下の表のようになります。

建物の固定資産税

土地の固定資産税

家に住む場合

必要

必要(200平米まで6分の1に減額)

トレーラーハウスに住む場合

不要

必要(100%)

つまりトレーラーハウスに住む場合、建物の固定資産税はかかりませんが、土地の固定資産税は家に住むよりも高くなります。

したがってトレーラーハウスに住む場合と家に住む場合とで、どちらの固定資産税が安くなるかは、「建物+土地」の合計値を比較して判断する必要があります。またどちらの合計値が安くなるかは、建物の評価額および土地の評価額によって結果が変わってきます。

住居用のトレーラーハウスに固定資産税のメリットを期待されている方は、ご自身のケースにおいて本当にお得なのかどうかを一度計算してみることをおすすめします。

その他の注意点

住宅性能をよく確認する

断熱性や気密性などが低いと、冷暖房の効率が落ちたり、室内に結露が発生しやすくなります。夏は涼しく冬は暖かく快適に過ごすためには、スペックをよく確認し、住居としての性能が高いものを選ぶようにしましょう。

住民票が取得できない

トレーラーハウスは車輪が付いており移動可能ですが、住民票というのは、その住居に暮らしが定着している事を示す書類です。つまり、移動出来るトレーラーハウスは定着性が無いので、住民票を取得する事が不可能と言えます。同様の理由で、賃貸物件としてトレーラーハウスを利用するのも現実的では無いと言えます。

まとめ

トレーラーハウスを日常生活の住居とすることは、現状の法制度では問題点も多くお薦めは出来ません。 一方で、一定期間利用する「別荘」や「離れ」という使い方であれば、トレーラーハウスの便利さや快適さを十分楽しめると思います。

※当社は事業用トレーラーハウスのみ取り扱っており、住居用トレーラーハウスは扱っていません。今回は参考情報として皆様へご紹介します。

原案/執筆:齋藤
校正:野坂